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Posted by TI-DA at

2010年11月29日

PMF10ライブレポート!



Peace Music Festa!辺野古2010のライブレポが、大きなメディアから小さな個人ブログまで続々とアップされています。ぜひ参加して皆さんがメディアとなって、このイベントをどんどん発信して、活気ある辺野古へ盛り上げていきましょう!まさに可能な使命(MISSION POSSIBLE)。

ブログやHPにアップしたよ♪という方は、ぜひ下記のPMFアドレスまでメールでお寄せください。
pmf10@peace-music.org

以下は掲載先のリンク集です。


【取材メディア】

沖縄タイムス
辺野古から平和メッセージ ピース・ミュージック・フェスタ!31日まで


Smashing Mag(スマッシング・マグ) 
過去のPeace Music Festa!のライブレポも掲載されています。

沖縄オルタナティブメディア

てぃーだキャスト~元気な沖縄 Ustream放送局
2010/10/30 Peace Music Festa 辺野古2010 ゲリラ配信


マガジン9 マガ9editer's room

ele-king:音楽系のweb mgazine (ライター 二木信)



【お客さん】

33r.p.m. ハーベストファームofficial blog

pipeline antiquesさんのブログ

dreami☆さんのブログ

zakka TUK TUKさんのブログ

LIFE IS WATERさんのブログ

SHU&BUNさんのブログ

ヒガヒガ日記 11/1辺野古 10/30ピースミュージック

ヨガやってアートしてとっとと散歩して風を感じて沖縄に住んでる日々ブログ
※11月6日付の更新で誤って出店者としてリンクを貼ってしまいました。お詫びして訂正いたします。

Aya's jewelry box

新宿ど真ん中デモ ブログ


【出演者】

THA BLUE HERBサイトより
ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2010.11


B.I.G.JOEさんのレポがアップ!

STARS ENTERTAINMENT PMF2010レポ

SOUTHのブログ 南人生活

SOUL FLOWER UNIONメンバーJIGENブログ

SOUL FLOWER UNIONメンバー上村美保子ブログ

カクマクシャカのブログ

PAPA U-Geeのブログ

DASTAMASのブログ

中川五郎のブログ

山川南(知花竜海×城間竜太バンドのBass)




【出店・展示関係者】

絵のワークショップで参加して下さった「未来予想図」さんのブログ
世界未来予想図展ー被災地・柏崎から愛を込めて


Summer☆day☆Loco bySTEPはらぺこカー

とり・とんの田舎暮らし
  


Posted by Peace Music at 11:42Comments(0)ライブレポ

2010年11月24日

Peace Music Festa!辺野古2010ライブレポ(後編)

Peace Music Festa!辺野古2010の2日目。昨日の余韻が残る心地よい辺野古の浜。そんな浜に集った観客を初っ端から踊らせたのがラビラビである。縄文トランスの呼称に相応しい2人の打楽器奏者によるオーガニックなサウンドと高揚感あるビートが辺野古の自然と調和する。そして、普段はキャンプ・シュワブからの重機音が響く海に、どこまでも突き抜けていくようなヴォーカルあずみの歌声が響き、地平線に消えていく。



そんな素敵なパフォーマンスの流れをそのままにSaolong To The Skyが登場。雨男の汚名を返上するかのような晴天の空に、清々しいロック・サウンドが響き渡る。ラビラビの声が地平線を目指したとすれば、シャオロンはその名(小龍)に相応しく、天まで垂直に突き抜けていくような声で辺野古から平和への雄叫びを上げる。



ここからは沖縄レゲエ勢が立て続けに登場する。トップのJAVAはルーツ・レゲエを感じさせるスタイルと澄んだ歌声で聴かせるレゲエを展開する。



次に登場したCOMATONは祖母への感謝を全面に出したパフォーマンスで彼なりの平和を祈念する。



Operonは5人組のメリットを十分に活かしたライブを展開する。5人それぞれの個性がぶつかったパーティー感あるレゲエ・サウンドで観客を楽しませた。



同じ複数Dee-JayのグループでもKing Jam Sessionは独特の遊び心で観客を楽しませる。ふざけながらも「Guidance」では彼らならではのピースフルなメッセージを発信して、第1回目のPeace Music Festa!出演時からの変わらぬ気持ちを表現した。



全国デビューも果たし活躍するSOUTHは東京からの移動というハードスケジュールにも関わらず、パワフルなライブとポップなサウンドで幅広い観客を楽しませた。



そして、満を持して沖縄レゲエ勢の締めに登場したのが45 with RADICALITESである。RADICALITESの渋いバンドサウンドと、跳ねるような45の熱いメッセージ、そしてベテランとしての安定感でレゲエ・ファンたちを完全にロックする。そして何より地元・名護への愛に満ちたパフォーマンスに観客も共感する。



沖縄レゲエ勢の心地良いパフォーマンスに負けないとばかりに、今年、リリースラッシュが続く沖縄ヒップホップ勢が登場。先陣を切ったのは地元・名護をレペゼンする009である。ゲストもフューチャーするなどして、ジャンルを越えた地元愛あるライブを展開した。



同じく名護市出身のMCいさっちが所属する琉球トライブにバトンタッチ。いさっちは基地建設で問題となっている大浦湾に面する瀬嵩区の出身。基地を取り巻く現状への憤りを表現した「ハンキチソング」での強烈なメッセージ以上に、彼らが全面に表現したのがいさっちが生まれ育った瀬嵩での日常を描写したリリック。「踊ろうか瀬嵩のに~せ~た~(訳:青年達)」と歌うと地元の仲間に合図して、みんなが微笑み返す。瀬嵩でのかけがえのない生活がそこにあることが何よりのメッセージだった。



次に登場したDASTAMASはペルー生まれのROMELとCY-RUSSによるユニット。スペイン語・中国語・ウチナーグチを織り交ぜたラップや、レゲエシンガーをフューチャーするなど沖縄のチャンプルー文化を体現したボーダーレスなステージで楽しませた。



沖縄本島中部のヒップホップ・シーンで兄貴的な存在であるST-LOWは、そのキャリアを活かした安定感のあるステージでヒップホップファンたちを楽しませた。



それと対になるかのように沖縄のヒップホップ黎明期を築いてきた本島南部のMCであるKZが登場。沖縄戦で激戦地となった地元・糸満をレペゼンするとともに平和への祈念をリリックで表現して、沖縄ヒップホップ勢のラストを飾った。



ステージは雰囲気も変わり、カーネーションの直枝政広のアコースティック・ライブが始まる。直枝の落ち着いた歌声と演奏に、会場も一気に大人の雰囲気が漂う。そんな中、SOUL FLOWER UNIONの奥野真哉がゲストで登場し、競演を果たすと会場もヒートアップ。辺野古ビーチが贅沢な時間に包まれる。



どんどん盛り上がっていく中、知花竜海×城間竜太のステージが始まる。THE HUMAN CHAINのメンバーらをバックバンドに従え、全てを解き放つかのようにイキイキとした知花竜海の歌と、数々のミュージシャンとコラボしてきた城間竜太の三線が絡み合って観客をロックする。沖縄の自然について歌った曲「新しい世界」では、歌に出てくる生き物たちが言霊となったように音がはねる。つられて子ども達が踊り、大人も踊る。このイベントの中心人物となって努力してきた知花が、夢描いてきた光景のような素敵なステージだった。



前回のPeace Music Festa!から顕著に見られるようになったのが、親子連れの姿だ。今回は子ども達が安心して遊べるような子ども向けワークショップのブースも登場した。そして、何より辺野古の自然海岸で遊ぶ、子ども達の笑顔が最高に素敵だった。観光客が沖縄の自然と勘違いするほど、人工ビーチだらけになってしまった沖縄で、本当の自然に触れ合える大浦湾沿岸で遊んだ記憶は、彼らの中で素敵なものであってほしいと願う。



そんな素敵な空気に包まれた辺野古ビーチにレゲエ界の大御所PAPA U-Geeが登場すると、Peace Music Festa!も終盤に向けて加速度的に熱くなっていった。地元名護のミュージシャンとメッセージを共有するために、ピースミュージックに合わせて集まってもらった、ボーダレスなアコースティックフルバンドをバックに迎え、名護の仲間たちや夕暮れ時の美しい辺野古のロケーションと一体となったライブを披露する。そのメッセージは「OH MAMA」の歌詞に集約されている「金じゃかえない自分のわざ もとうみんなでまもろうここを」。辺野古への敬意と人々の連帯を求めるメッセージが、レゲエのポジティブなサウンドになって辺野古の浜に鳴り響いた。



そのメッセージは続くMISSION POSSIBLEのパフォーマンスで、より具現化される。まずはOLIVE OILのDJライブ。イントロから「MISSION POSSIBLE」のインストをMIXし、観客の興奮をあおる。有刺鉄線を揺らすような重低音のビートと、OLIVE OILのお洒落なサンプリング・センスが辺野古を包む。



高ぶる期待の中、コウダイのギターをバックに颯爽とB.I.G.JOEが登場すると大きな歓声があがる。安定したラップ・スキルを見せつけて観客を完全にロックすると、隣接する米軍基地に向かって届けることを前置きして、全編英語詞の「WAR IS OVER」を歌う。静かな平和への希求に、時が止まるような瞬間だった。



そして、いよいよBOSSを迎え入れて、最初で最後のMISSION POSSIBLEのライブが始まる。2人のリリックの一つ一つが「ごく僅かな金で奪われたROOTS」と歌われる分断された土地(沖縄:辺野古)のロケーションの中で、鼓膜に焼付く。そして、声高に右手を掲げて叫ぶ「一人じゃない!」。土地・文化・人・心まで、全てを分断されてきた歴史に、その言葉が木霊した瞬間に涙が溢れた。歓声を上げるつもりが、喉が震えて言葉にならなかった。



その場を引き継いだTHA BLUE HERBのライブは、MISSIONを解体していくような解説書のような内容だった。BOSSはMCで沖縄が抱えてきた苦渋の歴史に敬意を払った上で、僕ら世代が歴史を共有して、北海道から沖縄までが繋がったことを語る。孤独な闘いを強いられてきた土地に、人の繋がりを再興していくイメージを与えるメッセージの数々。まさに今回のPeace Music Festa!の核心を突くパフォーマンス。そして、「未来は俺等の手の中」を辺野古に集まった皆と共有する。



そんな辺野古の浜を優しくクールダウンさせてくれたのが七尾旅人。七尾の声とアコースティック・ギターの優しい音色が、日が沈んで肌寒くなってきた辺野古の浜を包んで、温かい気持ちになる。フード・ブースに並んだ温もりを感じさせる手作り料理を、集った仲間と食せば、さらに温かい気持ちが広がる。「Rollin’ Rollin’」で歌う「このグルーヴを捕まえて」に応答するように会場がひとつになっていく。でも音響の魔術師はそれだけでは終わらせない。サンプラーやエフェクターを多用してガラッと空気を変える。空間に歪みが生まれ、七尾の音が空間を支配する。その歪みから生まれる不安定感を楽しむかのような七尾旅人のステージは、ボーダーレスな今回のPeace Music Festa!を象徴するような素敵な時間だった。



そして、ステージは残された時間を楽しもうと興奮のるつぼに達していった。トリを待たずしてSOUL FLOWER UNIONの登場。「荒れ地にて」から始り、キラーチューンを惜しみなく披露。もう初っ端から観客は踊り狂って、まさにお祭りバンドの形容に相応しいステージだった。毎回、Peace Music Festa!でのSOUL FLOWER UNIONのステージは、辺野古への熱い想いと、差し迫った終了時間に間に合わせねばならぬ主催メンバーの自覚(笑)が相まって、いつも以上に音が軽快に跳ねて自然と踊らずにはいられない。今回は久しぶりの辺野古ステージということもあって、熱のこもった最高の演奏だった。観客に交じって他の出演者たちが踊り楽しんでいたのも印象的だった。



熱くなったステージでは、辺野古と同じく大浦湾に面する地元・名護の瀬嵩青年会の勇壮なエイサー演舞が繰り広げられる。前述した琉球トライブのいさっちも青年会メンバーとして出演した。このイベントの成功の影には青年会の活躍がある。イベントの趣旨に賛同して支援をしてくれた瀬嵩の青年会、そして会場に足を運んでくれた辺野古の青年会、何よりイベント開催に理解を示してくれた地元住民の理解が必要不可欠だった。沖縄の伝統芸能であるエイサーは、お盆(沖縄では旧暦)に踊られる先祖供養の舞踊である。現在は嘉例(カリー)付け[=縁起付け]として、祭りや結婚式などの各種行事で踊られる。伝統エイサーは、それぞれの集落(ムラや地域;沖縄ではシマと表現する)で独自のスタイルを持っていて、地元愛を表現するのに最もポピュラーな伝統芸能とも言えるだろう。そのため、隣のシマ(地域、ムラ)であっても、公の場で踊ることは容易くない。シマ同士の信頼の上で、余所のシマでエイサーを踊ることが出来たりする。しかも名護の東海岸は基地建設の是非をめぐり、住民が二分された緊張感の中にある。彼ら瀬嵩の青年たちがこの場所でエイサーを踊ったことは私たちの想像以上に奇跡的な出来事だったのかもしれない。それが出来たのも、今回のPeace Music Festa!が基地をめぐる賛成・反対を越えたところに焦点が置かれたこと、そして、辺野古の青年会や地元住民の理解や寛容など、人の繋がりがあったからだと考察する。それを踏まえた上で、イベント開催にあたって尽力してくれた地元の皆さんに敬意を表したいと思う。



大トリはサルサの本場キューバでも好評の沖縄を代表するサルサ・バンドKACHIMBA DXの登場。しかも大所帯のフルメンバーVer.である。ラテンのリズムと沖縄の旋律が融合したチャンプルー音楽に自然と手足が動き出す。もう皆、踊り疲れているはずなのに、あらゆる境界線を忘れて、世代やファッションも違う人々が踊り明かす。観客席の中に手を繋いだ人々の輪っかが自然と生まれては消えていった。ゲストで知花竜海が登場し、爽快にラップをすると興奮もピークに達し、そのまま全員巻き込んでカチャーシーに突入。こうして最高の夜は幕を閉じた。宴の余韻が残る会場に後ろ髪をひかれながらシャトルバスに乗り込む人々。見知らぬ人と会話したり、それぞれが会場で起こった出来事を反芻するバスの中は祭りのあとの至福のひと時だった。





夢のような宴も終わり、いつもの日常に戻る。辺野古(名護市)が事あるごとに賛成か反対かという2択を迫られている状況は何も変わらない。同じ状況は辺野古のみならず、東村の高江区にも、沖縄市の泡瀬にも突きつけられている。沖縄だけじゃない。山口県の祝島でも、青森県の六ヶ所村でも同じ状況に住民が心を痛める。「繰り返される歴史の中、必要なものは本当は何?繰り返される歴史は長く、大事なことは本当は何?」この言葉が重く突きつけられる時が来ている。賛成か反対かという二項対立を越えて、人と人の繋がり感じられるシマを共有出来たなら、過疎のシマに突如やってくる開発の話に住民が二分されることはなかっただろう。今回のPeace Music Festa!の意義はそんな人の繋がりが再興できるような場所を創造していくことにあったと思う。



たかが音楽、されど音楽。前述したようにPeace Music Festa!を開催したからといって現場の状況は何も変わらない。しかし、ここで繋がった人々の意識は確実に変化しているという事実もある。ITやSNSの発達によって人的ネットワークを活かしたツールがネット上には溢れている。Twitterなどでは早くもイベントに感化された人々から、次のPeace Music Festa!に向けた自主的なイベント拡散案などもささやかれている。このPeace Music Festa!のメッセージが拡散し続け、僅かな資本によって人々の心が分断される悲劇が起こらないシマになればと願う。開発の現場に全ての責任を押し付ける時代ではないのだから。わったー(私たち)は「一人じゃない!」。



Text by Taichi Yamanoha
Photo by Shinichiro Shinjo / Taichi Yamanoha

(→ライブレポ前編を読む)  


Posted by Peace Music at 21:01Comments(0)ライブレポ

2010年11月24日

Peace Music Festa!辺野古2010ライブレポ(前編)

2010年10月30日(土)、台風によって開催が危ぶまれたPeace Music Festa!辺野古2010が無事開場を迎えることが出来た。この開場に間に合わすため、強風の中、実行委員、ボランティアスタッフたちが集い、徹夜で会場準備をしたのである。大きなテント型のステージを扇形に囲むように、屋台が並び、その外をさらに囲むように辺野古の美しい海が広がる。そして、会場の側には浜辺を分断する有刺鉄線が不自然にたたずむ。



そんな会場で幕開けを飾ったのが、ハワイの県系人によるグループUkwanshin Kabudan(御冠船歌舞団)である。沖縄民謡とハワイアン・ミュージックの心地良い演奏の中にウチナーンチュとしての深いアイデンティティを表現する。そんな彼らが、戦後、米軍の捕虜収容所で生まれた屋嘉節を現代の沖縄に投げかける。「なちかしや沖縄 戦場になやい 世間御万人とぅ 涙流ち」(悲しい沖縄 戦場になり 世間の皆が涙で袖を濡らす)と沖縄戦に対する嘆きがキャンプシュワブに隣接する辺野古ビーチのロケーションの中でリアルに響き渡る。



次に登場したギタリストPaul Mahouxは、対照的にギターエフェクトを駆使した言葉のないインストゥルメンタルの世界を展開する。セミの鳴き声さえも音響効果のように聞こえ、心地よいギターエフェクトが空間を支配する。



東京から参加したハリネコの沙知は辺野古の自然と調和するかのような綺麗なピアノの音色を奏でながら、時にオルタナティブな即興演奏を交え、のびのびと歌い観客を楽しませた。



同じく東京から参加したレゲエバンドTEX & the Sun Flower Seedは一人だけのアコースティックver.でありながらも、バックバンドを感じさせる熱い演奏で平和へのメッセージを発信する。



岡林信康や高田渡らとともに1960年代のフォーク・シーンで活躍し、60歳を過ぎた今なお現役で歌い続けるフォーク・シンガー中川五郎は、往年のファンから若い聴衆まで魅了するパフォーマンスを繰り広げた。最後の曲「ビッグスカイ」では、終盤にギターを捨て、そのまま歌い続け、舞台から観客席へジャンプして終了するというパワフルなステージングを魅せた。尻餅をついてしまうというオチがあったが、それさえも愛おしくなるほど中川五郎の人柄が表れた素敵なライブだった。



次に登場したエルビス・ウチマは、コザの街を切り取ってきたかのような荒々しいロック・ギター(アコースティック)と美しく繊細なヴァイオリンの音色を伴奏に、社会派ソングを展開して観客の耳を傾けた。

会場から少し離れた辺野古の座り込みテントでは、実行委員のひとりであるKEN子がナビゲーターとなって、環境問題や基地問題を考えるためのアトラクション・プログラムを行っていた。10数名ほどの参加者を前に、沖縄を代表するイベント・オーガナイザーから環境アクティビィストへシフトしていった自らの経験を語る。集まった高校生や大学生らとともに沖縄の環境や社会について語り合い、開発に伴う諸問題について理解を深めていった。その他にもテント村では座り込みを続ける住民との対話で辺野古の基地問題について理解を深める観客の姿(Ukwanshin Kabudanのメンバーの姿も!)や、誰に言われるでもなく海岸のゴミ拾いをはじめるカップルなど、ライブに影響を受けた人々の姿が早くも見られた。


同じ頃、ライブ会場では、昨今、注目を集めるレヴェル・ミュージシャン三宅洋平のライブが行われていた。原発建設問題で揺れる祝島や、COP10会場を旅してきた三宅は語った。「一番嫌なことは、過疎の村に開発の話がやってきたときに、住民が賛成と反対で二分されてしまうことだ。」資本の投入によって土着の人の繋がりが断たれることへの憤りが、彼の言葉と音楽によって紡がれ、まさにその現場である辺野古に響きわたる。



そのメッセージを引き継ぐかのように、カクマクシャカはこのステージのために用意してきた曲「殺すな辺野古」を全身全霊で歌う。「繰り返される歴史の中、必要なものは本当は何?繰り返される歴史は長く、大事なことは本当は何?」の問い掛けから「殺すな辺野古」というフレーズが山原の森に木霊する。その中でカクマクシャカは叫ぶ「殺すな心」と。



舞台は一転して、フリースタイルリフティングチームの闘蹴~SHOOT~による華麗なリフティングパフォーマンスで盛り上がる。メンバーも開始時間ギリギリまで入念なフォーミングアップを重ねるほどの気合いの入れようであった。

次は実行委員の一人であるマーシーがフロントマンを務めるバンドprocalのステージ。マーシーは今回の立役者の一人。彼や知花竜海らは、辺野古の住民にイベントへの理解や協力を仰ぐため、足しげく辺野古に通った。会場入り口で配布された「辺野古案内MAP」はもっと辺野古へ遊びに来てほしいという実行委員の想いや住民の地元愛に満ちた一枚だ。そんなマーシーの想いをのせたprocalの、どストレートなロックは台風を抜けた会場の天気のように清々しかった。




ステージは続く。Peace Music Festa!史上初のラウド・ロック勢の先陣を切ったHeinous Criminalは8月に台湾でもライブをした実力派。アジアに広がりつつある沖縄ラウド(近年はレキオス・ロックという呼称が浸透しつつある)の力を魅せつけるかのような熱いライブを繰り広げた。



次に登場したSTARS ENTERTAINMENTはダンス要素を取り入れたバスケットボールを使ったパフォーマンスで観客の目を釘付けにした。そのクリエイティブなパフォーマンスは最後のカチャーシーでも惜しみなく披露された。



KUMAKARAは誰もが知っている往年の歌謡曲をかっこよくアレンジした演奏で、世代を超えて観客を楽しませた。自然と一緒に唄を口ずさむ人も見え、会場全体が温かい空気に包まれた。



そんな会場に嵐を巻き起こすかのような強烈な登場をしたのが、オキナワン・ロックの生きる伝説ヒゲのかっちゃんである。KUMAKARAのメンバーをそのままバックバンドに従えたパフォーマンスだったが、観客席後方から登場したかっちゃんがなかなかステージまで上がってこない(笑)。とうとうスタッフに担がれてステージに上がるが、言葉では描写できないほどの脳みそを攪乱させるパフォーマンスで観客を大いに笑わせた。還暦を過ぎてもロックし続ける男は、辺野古の浜にまた一つ伝説を残した。



ラウド系としては珍しい全員女性の3ピースバンドRUN it to GROUNDは、女性ならではの繊細な表現と、パワフルな演奏、そして破壊的なデス声が合わさった個性的なスタイルで、普段はラウド・ロックと距離を置いていそうな客層までも虜にしていた。今後の活躍に期待できる演奏でみんなを楽しませた。



続いての創作太鼓衆 颯もメンバーが全員女性かつ少人数というユニークな創作エイサー団体である。普段エイサーでは使われないタイプの楽曲を使用した演舞で会場を活気づけた。



次に登場したFAKE KINGZは数ある沖縄のラウド系バンドの中でも、最もタイトかつ激しい演奏を繰り広げるバンド。普段は米兵相手にライブをしたりもするFAKE KINGZは、隣接するキャンプシュワブに轟くほどの轟音で観客を完全にロックしていた。



熱いパフォーマンスをクールダウンするかのように登場したのが、沖縄市を中心に活動するラッパーのさとまん。包み込むような優しいHIP HOPミュージックと映像を組み合わせたインスタレーションライブからは、コザの街の日常と幸せが描写される。そして、そのメッセージは辺野古の街が潜在的に持っている地元愛へと置き換え昇華されていく。



トリを前に高まる興奮をさらに盛り上げたのがROACH。沖縄のバンドが好きなハードなロック色は残しながらも、歌謡曲を感じさせる日本的なメロディー表現で観客を楽しませた。動きでも観客を楽しませようとステージ上を動き回るヴォーカルたぁまぁの動きも印象的だった。



いよいよトリのソウル・フラワー・モノノケ・サミットの登場で観客が総立ち。「アリラン」や沖縄民謡などを、モノノケ・サミット特有の祭りサウンドに昇華して聴衆の耳を楽しませた。また沖縄で注目の若手民謡歌手の上間綾乃との相性は抜群だった。三味線や太鼓の音色が辺野古の海に響き渡ると、もう自然と手足が動き出し、そのままカチャーシーに突入。3年ぶりの辺野古開催を辺野古の海が待っていたかのように音が弾み、人が踊る。こうして翌日のライブに期待を残したまま1日目が終了した。




Text by Taichi Yamanoha
Photo by Shinichiro Shinjo / Taichi Yamanoha

(→ライブレポ後編に続く)  


Posted by Peace Music at 20:29Comments(0)ライブレポ