2010年07月29日

MISSION POSSIBLE -可能な使命

KIMです。

以下の文章は7月21日に自身のブログに投稿したものです。知花竜海のすすめもあって転載になりますが、読んでください。※多少、加筆修正しています。



7月21日の今日、世の中は夏休み初日で浮かれた若者が数多く見られた。

自分が子供だった頃、政治とかいう単語こそ知っていれど、社会を知るよりも余りあると思っていた時間を目一杯使って遊ぶことを考えていたあの頃、静岡に生まれた自分は「アメリカ」なんて映画の中の世界でしかなかった。
そして、18年が過ぎてここ沖縄にくることになったが、内地とは違い異国情緒が溢れる街に衝撃を受けると共に、一気にテンションが上がったことをよく覚えている。

まるで「外国」のような沖縄に浮かれていた。クラブで派手に踊るアメリカ人に憧れこそしないものの、否応なく目立つ彼らは夜の世界を大いに盛り上げていた。
社会的に「大人」を迎えた自分も、いまだ学生という身分に甘えて自由を謳歌していた。その頃だったか、友人から「県民大会」という単語を聞いた。それでも、その言葉の意味することは理解していなかった。
しばらくして、就職、結婚そして子どもが生まれ、それからようやく目が外に向き始めた。その当時住んでいたのは沖縄市の八重島という場所だ。嘉手納基地からそれほど遠くない場所で、まだ1日の大半を眠る娘の傍らで戦闘機の音が耳についた。

仕事柄その手の情報に触れることも多く、並行してアメリカ兵の不祥事が相次いだ。細かいことを上げればいとまがないが、中でも少女暴行事件は他人事ではないと感じた。聞く人には「考えるのが遅い」と思われるかもしれないが、子どもが生まれてからやっと沖縄の「基地が街中にあり現役の兵隊が常駐している」という異常性に気がついたのだ。
2000年代に入ってからも様々なことが起きた。沖縄国際大学にヘリが墜落し、前述の暴行事件再発、高江のヘリパッドや普天間代替の辺野古埋め立て等々。県民大会や普天間基地の包囲行動にも初めて参加しだした。その頃は2人目の娘がいて、大きいのを背負って小さいのを肩車して集まったりした。

イベントでも「反基地」を掲げたものが増え始めた。アーティストも主旨に賛同して集まりだした。そして去年、自分は「辺野古への移設反対」を銘打った「ピースミュージックフェス」というイベントを手伝うことになった。基地問題には関心があったし、実際にやっている人がどういう風に動いているのかが裏から見れると思ったからだ。しかし、感じたことは「いまいち内容が見えないな」だった。加えて「来年はないだろうな」とも。
質が悪かったわけじゃない。ただ、テーマがぼやけて見えてしまった(観客としての視点)こと、スタッフ周りがまとまってなかった(企画者としての視点)こと、そして集客が振るわなかった(資金繰りの視点)ことで、来年は厳しいんじゃないかと思った。

ところが、そのイベントの主催者である知花竜海は多くの負担(お金とか人間関係)やプレッシャーを抱えつつも今一度「やる!」と表明した。しかも辺野古(去年は宜野湾だった)で。時は政権交代で皆が「またか…」と失望していた。自分は、なぜかこのタイミングでの開催を決意した主催者の勢いに打たれて、顔も知らぬその主催者にメールを打った。今年やるなら手伝いたい、と。そして、程なくしてニュースが飛び込んできた。

OLIVE OILとILL-BOSSTINOとB.I.G. JOEが「基地問題をテーマに楽曲を作る」と
自分は、思わず「これで県内の人間が何もしなかったらもう終わりだ」と声に出した。

これもタイミングだったんだろう。奇跡的にこの3人と話をする機会に恵まれた。そこで聞かされた3人の思いや考え、そして沖縄からは前出の知花竜海と同じく音楽を通して意思表明をしているカクマクシャカと急ごしらえではあったがディスカッションもできた。世界各地で起きていることからしたら些細な事だが、それでも自分にとってはとても大きな出来事だった。意義も意味もあった。
それが6月末の出来事。そして今日、3人の使命が形になった。

MISSION POSSIBLE / OLIVE OIL feat. ILL-BOSSTINO, B.I.G.JOE
http://www.triumphrec.com/news/?p=321

正直言うと元々3人のファンだった自分は、複雑な思いもあってなかなか文章にまとめることができなかった。しかし、この曲を聴いてようやく筆を執ることができた。逆に言うと、これを聴く前には書けなかったというのもある。
歌詞カードを見ないで何回も聴いて、BOSSとB.I.G.JOEが何を言っているのか何を伝えたいのか感じ取ろうとした。OLIVE OILのトラックも何十順目か分からないくらい聴きこんで、今も裏で流れながらこの文を書いている。

これから、多少時間がかかってもここ数カ月で出会った人達、アーティスト達のことをまとめていこうと思う。時を同じくして、JUZU a.k.a. MOOCHYというアーティストとも出会い、話をすることができた。MOOCHYもまた沖縄のことを作品にしている。
アーティストが作品を世に送り出す過程で値段をつける以上はビジネスになるのだけども、活動するにはお金が必要だし、それだけの価値があるものだ。

自分は今日、お金を握りしめてCD屋に走った。3人が思い描いているイメージをなぞってみたかったからだ。とてもいい気分だった。
自分もDJのはしくれ、購入した作品に対して並ならぬ思いを抱くことは多いが、今日は何年かぶりにCDを買ったというのも手伝って感慨深かった。プレイヤーに入れて音が出るまでの感覚はレコードと何ら変わることなく、この1枚を通して「繋がっている」と思えた。
感じることは人それぞれ違うはずだが、多くの人に聴いてもらいたい。できる事なら、CD買うためだけに走ってもらいたいと思うほど。
MISSION POSSIBLE -可能な使命
MISSION POSSIBLE -可能な使命

彼らはこの歌を「KIDS」に聴いてもらいたいと言っていた。自分がまつりごとのイロハもわからなかった時代、こうして若者向けに情報を発信してくれる人達はいなかったように思う。
小難しいことを考えるより好きな相手のことを思ってる方が幸せだろうが、せっかくの機会があるのなら触れてみてほしい。浮き足立ったその足先を、夏休みの1日でも違う方向に向けてくれたらと思う。
浮かれているのが悪いってんじゃなくて、選択肢があるうちはまだ余裕のある時間を有意義に使ってほしいな、と思うのだ。あー、説教臭いから今はやめよう。

自分にもできることがある。少しウザったいかもしれないが、やれることをしていきたいと思う。
そして、ILL-BOSSTINO、B.I.G.JOE、OLIVE OILへ。
私はあなた達に出会えて良かった。あなた達が声を上げたことをとても嬉しく思う。
3人に心からの敬意を表します。



今の総理大臣の名前が言えなくても「基地なんて要らない!」という考えを持っている若い子達はいるんじゃないか?
コンビニでたむろして唾はいたりしてても、海に行くのは好きだという奴らもいるんじゃないか?
彼らは、そんな「子供達」に向けて発信した。もちろん「大人達」を無視しているわけじゃない。皆が聞けばいいし、感じればいい。



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Posted by Peace Music at 17:25│Comments(0)スタッフ日誌
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